「夏血栓」の恐ろしさ-熱中症かと思っていたら
血栓とは
血栓とは、血液中のタンパク質や血小板が血管中に溜まって固まったものです。
これがはがれて、血液中を流れていって、細い血管に詰まると、その先に血液が流れなくなるので、その先にある臓器の細胞が壊死(えし)してしまいます。
脳の細胞が壊死するのが脳梗塞、心臓の場合が心筋梗塞、肺に起これば肺血栓塞栓症というわけです。
夏血栓とは
冬は、暖かい屋内から、寒い屋外に出たときなど、急激に血管が収縮して、血液の流れが速くなって、そのせいで血栓がはがれ落ちて運ばれていって、血管を詰まらせることが多いのです。
一方、夏の場合は、発汗などのせいで、体が脱水状態になり、血液がドロドロになって、そのせいで血管が詰まりやすいのです。
さらに、暑いからと、冷たいビールなどをガブガブ飲んでいると、アルコールの利尿作用で、体の水分がさらに失われて、血液が固まりやすくなってしまいます。
このように夏に起こりやすい血栓症を、「夏血栓」と呼ぶことがあります。
気温が32℃を越えると、夏血栓で倒れる人が、グッと多くなります。
めまい・吐き気・冷や汗・頭痛・呼吸困難といった症状が出て、熱中症かと思って手当をしているうちに、手遅れになることがあるので注意が必要です。
また、血栓が取れると、症状が治まるので、安心して放置していると、再発することがあるので、医者に診てもらいましょう。
夏血栓の防ぎかた
水分の補給
ミネラルウォーター・経口補水液や麦茶をこまめに飲んで、水分を補給しましょう。アルコールやカフェインを含む飲み物は、利尿作用があるので、夏血栓の予防には不向きです。
室内にいても、エアコンのせいで、肌が乾燥し、知らず知らずのうちに脱水が進行しがちです。エアコンで快適だと安心しないで、水分を取るようにしましょう。
また、睡眠中に失われる水分の対策として、寝る前に水を飲む・枕元に水を置いておいてトイレに起きたときなどに飲む・朝起きたときに一杯水を飲むなどの工夫をしましょう。
病気は治しておく
高血圧症・糖尿病・脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病や慢性腎臓病は、夏血栓のリスクを高めるので、適切な治療をしておきましょう
体を動かす
パソコン作業などで、長時間、同じ姿勢を続けていると、血管が詰まりやすくなります。時々休憩を取って、軽くストレッチなどをしましょう。
また、筋肉量の多い人は、体内に水分を多く蓄えておきやすいので、普段から、ある程度、筋肉を増やすトレーニングをしておきましょう。
食べ物の注意
血液をサラサラにする、納豆・タマネギなどを積極的に取ります。EPAやDHAを含む青魚も血栓予防に良いですね。カカオの多いダークチョコレートもおすすめです。(食べ過ぎに注意しましょう)
禁煙
タバコによって体内に取り込まれるニコチンと一酸化炭素は、血栓症のリスクを大幅に増やします。